(1)
その日、利佳は地下室のベットの上で、静かな時間を過ごしていた。いつもなら、主人や調教師らによる、責めを受けているか、恥ずかしいバレエのレッスンをやらされているか、どっちかだった。しかし、その日は、利佳の発表会の日だった。彼らはその準備に追われていて、利佳の相手をしてる暇など無かった。 利佳は一人、これから始まる発表会に対する、不安な気持ちに苛まれていた。
暫くしてから、主人らが利佳の前に姿を現した。利佳自身の支度の為であった。彼らは利佳をベットに 括りつけていた鎖を解き、彼女を起こすとビニールのネグリジェを脱がせ、シャワーを浴びせた。利佳の躰 は全くと言っていい程、日光を浴びてない為、まるで『モンテ・クリスト伯』の様に蒼白い肌をしていた。しかし、そんな病的な肌色とは不釣り合いな程、利佳の肌は滑らかで瑞々しく、ニキビはおろか、出来物一つ無かった。それ程までに彼らは、利佳の健康管理に気を使っていたのだった。男達の手で躰を洗われている間中、利佳は少し泣きそうな顔で、鏡に写った自分の躰を見つめていた。
振り返って見ると、ここの者達は、利佳に恥ずかしい、嫌らしい事こそすれど、必要以上の暴力を振るっ た事等、唯の一度も無かった。寧ろ、利佳はここでは、お姫様扱いと言っても良かった。身の周りの世話 は全てやってくれてて、食事も良い物ばかり与えられていた。確かに、自らの手で、自分の事を何かする 事すら許されておらず、全て一切の自由が認められていないのだが、彼らは利佳に恭しく接していたと言 っても過言ではなかった。 利佳は利佳で、心がぐらついていた。確かに最初は彼らに対し、恐怖と憎悪の念しか持ち合わせてい なかったが、ここまで自分に優しくしてくれていると、辱められている事を差し引いても、心が傾きかけざるを得なかった。だが、寺田に対する想いも断ち切れない。利佳の心は迷っていた。
シャワーの水気を拭き取られ、全身にシッカロールを塗られると、白いラバーの全身タイツを、白の合皮とビニールのチュチュを着せられ、黒いピンヒールを履かされ、首と手足に枷を填められていった。メイクを 施されている最中、利佳はしくしくと泣き出した。そして、本当の気持ちを打ち明けた。
「ご…、御免なさい…。昨日の事…、先生の事、大っ嫌いだなんて嘘…。本当は今でも寺田先生の事が好き。先生にここから助け出してもらいたい。ただ、助けに来てくれない事に、少し苛ついてただけ。出来る事 なら元の暮らしに戻りたい…。お家に帰りたい…。先生に逢いたい…。でも…、こんな嫌らしい、エッチな女 の子になっちゃって、それも出来ない…。マスター達も優しいし、もう戻れない…。私…、私…」
溢れる涙を拭い、崩れたメイクを直し、支度は完了した。
そして、二人の調教師のエスコートで、利佳はここに来て以来、初めて地下室の外に出た。両脇を二人に 支えられながらゆっくりと階段を上っていく利佳。
これから始まる発表会で、何が待っているのか、まだ、理解出来ていなかったが、それが済んだら、二度と 元の世界に戻れない事だけは、薄々解っていた。 利佳は館の大ホールに連れてこられた。そこには、約20人程の、黒いラバースーツに身を包んだ人々 がいた。その者達と目が合った瞬間、利佳は身震いし、思わず後ずさりした。 「おやおや、随分と可愛らしい奴隷じゃないか」 「あら、ほんと…。☆£さんも、良い子を手に入れたわねぇ」 「いやぁ、全くだ。羨ましい話…」 「あら? この子…、世間で行方不明になってて騒がれていた子じゃない !? 名前は確か…、利佳…、そう、○○木利佳ちゃん!」
ホール内から一斉に驚きの声が上がった。その時、利佳の心中に淡い希望が生まれ、それに賭けるべく行動に出た。
「だ、誰か、助けてください! お願いです! 誰か、私を助けて!!」
皆、一斉に利佳に注目した。その中の、深紅のラバースーツに身を包んだ、一人の女性が近付き、利佳 に語りかけた。赤いラバーに覆われた手が、利佳の白い顔に伸びる。
「わかったわ。いいわよ。助けてあげる」
利佳の顔に喜びの色が浮かぶ。しかし、次の瞬間、それは戦慄に変わる。マスクの下の彼女の瞳が妖しく光る。
「あなたを、ずっとここに匿ってあげる」
予想外の言葉に、利佳は一瞬耳を疑った。しかし、そんな利佳に、その言葉の真意を理解する間を与えられる事もなく、利佳の運命の歯車は、彼女の手足を吊り上げる鎖を巻き上げる、歯車の様に大きく回りだした。利佳は両手と右足を天井から鎖で吊り上げられ、まるでバレエを踊っている一場面のようでもあった。だ が、利佳の顔に笑みは無く、あるのは恐怖の色のみだった。
「本日は、私、☆£の家にお越しいただき、まことに有り難うございます。さて、今回は趣向を変えまして、先頃、入手しました愛奴のお披露目を致したく思います。皆さん。ラバースレイブ〝RIKA〟です。お見知り 置きを。確かに、以前のこの子は、巷で騒がれていた〝佐々木利佳〟と言う女の子でした。でも、今や、完全に淫らな、マゾの牝奴隷と化しております。もうSEXとラバーを纏う事しか頭に無い、ラバーフェチの牝マ ゾ”RIKA”です。この子は、以前バレエをやってましたので、バレリーナの牝マゾ奴隷〝奴隷リーナ〟と して育てて行こうと思いました。では、RIKAの薔隷を存分、お楽しみください」
(2)
マスターの挨拶が終わると、何人かの客が利佳の傍に寄って来た。そして、利佳の躰に手を触れ始めた。ラバー越しにではあるが、幾つもの手が利佳の躰を這い回る。それに対し利佳は躰を揺さぶる位の抵抗し か出来なかった。
「いやあぁっ! やめてぇぇっ!助けてえぇ!! 」
ラバーの手が、利佳の股間に集中し始めた。利佳の声も金切り声の悲鳴から、掠れる様な喘ぎ声へと変化していった。躰の揺さぶりも、いつしか止まっていた。
「あそこが濡れて来てるよ…。RIKAちゃん…」
「本当だ…。薔薇のピアスの乳首も固くなってきてるし…」
「固いと言えば…、ここも…」
一人の男の手が、利佳のヴァキナの中の小さな突起に触れた。思わず低い悲鳴を上げる利佳…。
「アァァ…、アハァァァ…、ンンーッ…、い…、いやぁぁ…、いやだぁぁぁ…」
利佳の息遣いが次第に荒くなっていき、虚ろな瞳も潤み始めた。長い監禁生活の中で、性的刺激ばかり を受け続けた為に、敏感になって来ているのだった。しかし、今の今まで、利佳のヴァキナは、ディルドゥや ヴァイブをねじ込まれた事はあっても、男の証しその物を受け入れた事は無かった。
だが、利佳の躰の方は、意思とは裏腹に受け入れる準備が出来ている。そして、間もなく利佳に男が入 ろうとしていた…。
「フフフ…、バイヴやディルドゥじゃ物足りなくなっている様ね…。私はあげられないけど、他のお友達が、あ なたに良いモノをあげる筈よ…」
さっきの女性の言葉に利佳は、漠然とした意味しか解らなかったが、それでも激しい羞恥と恐怖を憶えた。
遂に利佳が犯される時が来た。
「い…、いや…、そんなの…、い…、いりません! い……、! !! !!! !!!!」
利佳が彼女の言葉を否定しようとした時、股間におぞましい異物感を覚えた。利佳のヴァキナの中に太い肉の棒が、粘液と絡む音を立てながら入ってきた。
「ああぁっ! いやっ! いやっ! やめてっ!! やめてっ !!」
利佳は泣き叫んで哀願した。だが、ペニスはヴァキナの奧へ奧へと、苦も無く入っていく。すでにバイヴやディルドゥによって、利佳の性器は処女膜を破られ、調教でヴァキナ全体が馴らされていたが、それでも、本物のペニスを挿入されるのは初めてだった。
「いやあっ! いやっっ! いやあぁぁ…、あっ!! ああっ !! ああーっ !! 」
粘膜と粘液が絡む音。ゴムとゴムとが擦れる音。鎖の一つ一つの鉄輪がぶつかり、軋む音。少女 の悲鳴と喘ぎ声。むせ返るような、牡の匂いの荒い吐息。それらが、一定のリズムを取って、ある種の音 楽を奏でているかの様だった。
「アアッ! アアァッ! アァッ!! アァッ !! た…、助けて…、先生…」
「ハァッ! ハハァッ! クッ…、 よしっ !! イクぞ !! イケぇっ !!」
「えっ !? な…!? あぁっ !! いやっ !! い…、あ…、ああ…、あ……、あ…………」
(3)
突然リズムが途切れた。男が利佳から離れ、利佳は爪先立ちの形で手足を吊られたままの姿で項垂れていた。利佳の瞳から涙が、そして、ヴァキナからスペルマが溢れ出ていた。
「先生……、寺田先生………」
利佳の心の奥底で、最後の最後まで大切に守って来たものが、打ち砕かれたのを感じた。だが、利佳は悲しみに浸る間も与えられず、あの妖しい楽曲を奏で、舞うように藻掻き、そして、悶えた…。
「アッ! アッ! アッ! アァッ! アァッ! アァッ! アアッ!! アアッ !! アーッ !!! アーッ !!! 」
利佳は深紅のラバーとビニールのチュチュを着せられ、四つん這いに拘束されて、犯されていた。正面 から見ると、まるで花に虫が附いている様にも見えた。利佳の躰は前後に、リズミカルに揺れ動いていた。
「アアァッ !! アアァーッ !! あ…、熱い…、熱いよ…、お腹が熱いよぉぉ…」
利佳は犯されながら、訴えた。無理もない。最初に犯された後、入れ替わり入れ替わり、何人も犯され、その子宮に大量のスペルマを注ぎ込まれていたのだから。幸い利佳は避妊処置をされていた為、妊娠の心配は無かった。しかし、利佳はまだその事を知らされていない為、妊娠の恐怖に苛まれていた。
「あ…、ああ…、イく…、イくぅ…」
利佳は再び絶頂を迎えた。もう、何度イったのか、解らなくなっていた。意識も遠くなっていった。
(先生…、さようなら…、寺田先生…。利佳はこの人達の奴隷になります。もう、先生の元には戻れません。私、先生の事が好きでした。今でも好き。だけど、本当は先生の為に大切にしていたモノを奪われました。何もかもです。私自身も奪われました。利佳は、もう昔の利佳じゃない…、とっても嫌らしい、エッチな、そして、SEXの事しか考えられない、マゾの女の子に……、いや…、違う…。私は女の子じゃない…、私は牝。牝になったの…。淫らなマゾの牝になったのよ…)
尋常な思考が出来なくなりかけていた利佳は、犯されながら何かを呟き始めた。
「私は牝…、私は牝…、私は牝…、私は牝…」
狂宴は始まったばかりである。
(2001年11月)
© shiiya