夕暮れの街中、利佳はバレエ教室からの帰路の途中だった。
手には一枚の葉書。表には手書きで学校の寺田先生の名前と住所、裏にはバレエ教室の発表会の案内が印刷されていた。葉書は招待状も兼ねていて、これを持参してなければ入場出来ない事になっていた。
「何とか無理言って貰っちゃった」
今度の発表会に、どうしても寺田先生に見て貰いたかった利佳は、教室の先生に頼み込んで、招待葉書を一枚分けて貰ったのだった。季節は秋、日も短くなりかけていた時期の宵の口、街灯とネオンが灯り始めた街中で利佳は葉書の投函を急いだ。
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利佳ちゃんのラバーバレエ - 第一幕 (改訂版)
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